コラム

2025年6月16日

犬の膀胱腫瘍とは?症状と原因、予防方法についてご紹介

犬の膀胱腫瘍とは?症状と原因、予防方法についてご紹介

犬の膀胱腫瘍について、皆さん、どのぐらいご存知でしょうか?
ここでは、犬の膀胱腫瘍について、その症状と原因、予防方法についてご紹介いたします。

犬の膀胱腫瘍とは?

膀胱とは、どのような機能をつかさどる臓器かご存知ですよね。
そうです。
膀胱とは、腎臓でつくられた尿が尿管を通り、一時的に貯留される場所です。

その膀胱にできた腫瘍を膀胱腫瘍と言いますが、良性の場合と悪性の場合があります。

膀胱腫瘍については、悪性腫瘍であることが多いのですが、なかでも移行上皮癌(いこうじょうひがん)と呼ばれる悪性腫瘍であることがほとんどです。

移行上皮癌とは、どのような癌なのでしょうか?

膀胱内部の粘膜表面の細胞のことを上皮細胞と言い、移行上皮とも呼ばれているものです。
この移行上皮細胞ががん化したものが、移行上皮癌です。

移行上皮癌は、「膀胱三角(ぼうこうさんかく)」と呼ばれる、膀胱内部の左右にある尿管の穴と尿道の穴を結ぶ三角形の領域に発生しやすいとされ、転移しやすい腫瘍のひとつもあります。
近くのリンパ節や肺だけでなく、骨に転移することもあります。

膀胱の移行上皮癌になりやすい犬種は?

膀胱の移行上皮癌になりやすい犬種としては、シェットランド・シープドッグ、ビーグルなどが挙げられます。
特に雌犬に多く、老齢になって発生するケースが多いと言えます。

犬の膀胱腫瘍「移行上皮癌」の症状について

犬の膀胱腫瘍の症状としては、以下のような症状が挙げられます。

  • 赤い尿が出る
  • 尿の量が少ない
  • 頻繁に排尿姿勢を取る

上記のような症状が見られたら、膀胱腫瘍が疑われます

そして膀胱にできた腫瘍に気づくのが遅くなり、腫瘍が大きくなると、尿管や尿道を巻き込んでしまいます。

そうなれば、腫瘍により尿管や尿道が塞がれてしまいます。
尿管が塞がれると水腎症に、尿道が塞がれると尿道閉塞になることもあります。

尿道閉塞になると短時間で死に至ることもあるので注意が必要です。

移行上皮癌が転移しやすい癌であることは前述のとおりですが、肺への移行が進行してしまうと、呼吸が速くなるという症状が出ます。
また骨へ転移すると足をかばって歩く、足を痛がるなどの症状が現れます。

犬の膀胱腫瘍「移行上皮癌」の原因

犬の膀胱腫瘍の原因については、現在のところ、はっきりとは解明されていません。

犬の膀胱腫瘍「移行上皮癌」の予防方法について

犬の膀胱腫瘍「移行上皮癌」の予防方法について

前項のように、犬の膀胱腫瘍の原因は、今のところはっきりと分かっていないため、予防方法についても分かっていないというのが現状です。

ただ言えることは、犬の排尿の様子に異常が見られたり、尿の色などに異常が見られた場合には、早めに動物病院を受診することが重要です。

犬の膀胱腫瘍「移行上皮癌」の治療について

犬が移行上皮癌になったときの治療法については2種類です。

  • 外科的治療
  • 内科的治療

それではそれぞれの治療法について見ていきましょう。

外科的治療とは?

外科的治療は、4つ挙げられます。

  • 膀胱部分摘出術
  • 膀胱全摘出術
  • 尿路変更術
  • ステント(尿管や尿道が腫瘍で塞がれた際に行なう管を広げておく医療器具)の設置

腫瘍が膀胱三角や尿道、尿管を巻き込んでいるかどうかによって、手術の方法は異なります

移行上皮癌は、膀胱三角に発生することが多いため、尿管や尿道を巻き込むことも多々あります。
そのような状態になると、犬は排尿ができなくなります。

排尿できなくなると、短時間で重篤な腎不全に陥ることになります。
これにより命を失う可能性もあるのです。

これらのことから、尿管や尿道の閉塞、またはその危険性がある場合には、尿路変更術やステントの設置など、尿が排泄できるような手術が行われます。

また、膀胱全摘出術や尿路変更術を行なった場合、術後は、常に尿がポタポタと落ちてしまいます。
そのため術後はオムツが必須となります。

内科的治療とは?

内科的治療については、3つの方法が考えられます。

  • 抗がん剤
  • 非ステロイド性消炎剤(ピロキシカムなどのNSAIDs)
  • 放射線療法

これらに加え、抗生剤が投与されることもあります。
内科的治療は、外科的治療と併用して行われたり、手術ができない場合などに行われたりします。

まとめ

膀胱腫瘍である移行上皮癌については、膀胱炎の症状と似ているところがあります。
日頃から愛犬の様子を気をつけて見るように習慣づけておきましょう。

尿の色がおかしい、排尿の様子がおかしい、排尿をしていないのに排尿のような姿勢をよくするなど、日頃と変わった点が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

万が一、移行上皮癌と診断されたときには、どのような治療法を行なうのか、外科的治療の場合、術後のケアについてや、術後予想される合併症などの説明をよく聞き、治療方針について納得するまで獣医師と相談することが大切です。

膀胱腫瘍の手術に関しては、大変難易度の高い手術です。
信頼できる獣医師のもとで納得して手術を受けるようにしましょう。
かかりつけの動物病院で対応できない場合には、二次診療施設など、ほかの動物病院を紹介されることもあります。

原因がわからない病気である移行上皮癌は、転移しやすい癌でもあります。
転移して手遅れにならないよう、異変を感じたら早めの受診を心がけましょう。

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