コラム

2025年10月17日

犬によく見られる目の病気の症状や治療法について解説

犬によく見られる目の病気の症状や治療法について解説

愛犬の目のトラブルというと
一般には、充血や目やにといったものがあるでしょう。

犬にはよくある充血や目やにといった目のトラブルですが、「このぐらい・・・」と思って放っておいたら失明など大変なことになるケースもあります。

ここからは、犬によく見られる目の病気の症状や治療法について解説いたします。

犬がなりやすい目の病気とは?

犬がなりやすい目の病気は、いくつかあります。

  • 白内障
  • 緑内障
  • 炎症性の病気(角膜炎、乾性角結膜炎(ドライアイ)、角膜潰瘍、ぶどう膜炎、瞬膜突出(チェリーアイ)、進行性網膜萎縮
  • 腫瘍性の病気(マイボーム腺腫、メラノーマ)
  • 瞼など目の周辺組織の病気(眼瞼内反症)

それでは、ここからはそれぞれの病気の特徴や原因などについて解説していきます。

炎症性の病気

炎症性の病気とは、病原体が目に感染したり、ほかの臓器の病気の影響が目に出たりすることによって目に炎症が起こる症状のことです。
おもな6つの病気について見ていきましょう。

角膜炎

角膜に炎症が起きている状態なのが角膜炎です。

ウイルスや細菌、真菌の感染、まつ毛や異物などの刺激、アレルギーなどが原因です。

治療は、抗生剤や炎症を抑える点眼薬を使用します。
点眼薬を使用すれば、ほとんどの場合は短期間で治ります

乾性角結膜炎(ドライアイ)

涙の量や質が低下すると目の表面が乾いてしまい、角膜や結膜が傷ついてしまいます。

その結果、目の充血が続いたり目やにが出やすくなるのです。
これを乾性角結膜炎(ドライアイ)と言います。

パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種は、先天的に涙腺の形成不全であると言われています。
そのため、乾性角結膜炎になりやすいのです。

また、感染症や糖尿病といった病気の影響で発症することがあります。
これらの治療としては、涙を補うための点眼薬、炎症を抑えるためのステロイドの点眼薬が処方されます。

角膜潰瘍

角膜潰瘍は、犬の目の病気のなかで多く見られる病気です。

角膜の内部にまで炎症が及んでいる状態が角膜潰瘍です。
症状としては、結膜の充血や涙の増加、眩しがる、角膜浮腫などが見られます。

病気が進行すると、角膜以外の組織にまで炎症が広がってしまうこともあります。

治療は点眼薬の使用が主ですが、角膜に穴が空いてしまうまで進行していると手術をすすめられます。

ぶどう膜炎

虹彩、毛様体、脈絡膜の部分を合わせてぶどう膜といいます。
この部分に起きた炎症がぶどう膜炎です。

原因は、感染やアレルギー、異物の刺激や、角膜潰瘍が広がったり、糖尿病など全身の病気が影響していることもあります。
原因の特定が難しい病気でもあります。

また、ぶどう膜は網膜に接しているため、ぶどう膜の炎症が物の見え方に影響してくることもあります。

瞬膜突出(チェリーアイ)

瞬膜(第三眼瞼)が眼球の前に出てきてしまう病気です。
チェリーのような見た目から「チェリーアイ」ともいわれています。

アメリカン・コッカー・スパニエル、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、ビーグルなどといった犬種、それも子犬によく発生します。
治療は、ステロイドの点眼薬や眼軟膏を使用します。

また、体質的に繰り返す場合においては、手術をすすめられることもあります。

進行性網膜萎縮

両目の網膜が変性する病気で、治療で進行を止めることはできません。
最終的には失明してしまう遺伝性の病気です。

はじめは、夜や暗いところで見えにくいという症状から始まります。
現在のところ、治療法は残念ながらまだありません

腫瘍性の病気

ここからは目に発生することの多い腫瘍について見ていきましょう。

マイボーム腺腫

マイボーム腺はまぶたの周辺にあり、眼球に適度な油を分泌する役割があります。
このマイボーム腺の細胞が増殖することにより、腫瘍ができるのがマイボーム腺腫です。

一般的に良性であることが多いのですが、腫瘍が大きくなって犬が目をこすったり気にしているようであれば切除すれば完治します。
ほかの腫瘍と同じく、シニアの犬に多く発生します。

メラノーマ

メラニン産生細胞が増殖してできた腫瘍をメラノーマといいます。
メラノーマは、皮膚や、口腔内、粘膜などさまざまなところで発生します。

眼球内にできることもあります。
目にできるメラノーマは良性のことが多いですが、悪性の場合は眼球摘出の手術を行わなければならないケースもあります。

まぶたなど目の周囲組織の病気

目の周囲組織に起こりやすい病気についてみていきましょう。

眼瞼内反症

眼瞼内反症は、まぶたが眼球側に巻き込んでしまっている状態のことを言います。

これにより、まつ毛や被毛が持続的に角膜や結膜を刺激するので、角膜炎や結膜炎、角膜潰瘍を起こすのです。
ペキニーズ、パグ、トイプードルなどの犬種で多く見られる症状です。

内反が軽度な場合には、まつ毛を抜いて対処します。
かなり重度な場合は、まぶたの皮膚を切開して縫い縮める手術を行ないます。

犬の目についてのチェック項目

犬の目についてのチェック項目

緑内障のように短期間で急激に悪化する病気もあり、目は普段から飼い主さんが気をつけてあげないといけません。
チェック項目をご用意いたしましたので、ご活用ください。

犬の目のチェック項目

ポイントは、左右の目を比較することです。
目の病気は、必ず片方から始まります。
左右見比べてみて異なるところはないか確認しましょう。
また以下のチェック項目についても気をつけるようにしましょう。

  • 目の大きさや開き具合が左右で異なっている
  • 目が充血している
  • 目をショボショボさせたり、まぶしそうにしている
  • 目が白濁している
  • 目やにの量が多い、黄色や黒っぽい目やにがついている、糸を引いている
  • 涙の量が増えたり、涙やけができている

犬の行動についてのチェック項目

犬の視力低下には、全身の病気が影響していることが多々あります。
以下のチェック項目に当てはまるようなものがあれば、アレルギーや免疫、糖尿病などの可能性が疑われるかもしれません。

  • よく物にぶつかっている
  • 階段や段差を怖がる
  • 夜や暗いところで行動するのを嫌がる
  • 極端にまぶしがる
  • 動きが鈍くなった
  • 顔周りや目を気にしてこすっている
  • 元気や食欲がない
  • 寝てばかりいる
  • 飼い主から離れたがらない

まとめ

犬に見られる目の病気は、実にさまざまです。
原因が目だけとは限りません。
全身の病気が関係するものもあります。

犬の目の病気のなかには、短期間で失明するものもあります。
飼い主さんが異常に早く気づいてあげることが愛犬をまもることにつながります。

左右の目の違いがないか、犬の行動におかしなところはないかなど、日頃から注意してあげましょう。

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