あなたのお家では、愛犬が独りで留守番をすることがありますか?
きっとほとんどの飼い主さんが「ある」と答えたのではないでしょうか?
愛犬の留守番の際に気をつけていただきたいのが、熱中症です。
「うちはエアコンをつけたままにしているから大丈夫!」
そんな風に安心している飼い主さんもいらっしゃるでしょうが、ちょっと待ってください!
実は、エアコンをつけていても熱中症になることはあるのです。
ここでは、犬の熱中症について、予防や注意点についてご紹介いたします。
どうして犬は熱中症になるの?
私たち人間は、体から汗を出すことで体温を下げています。
しかし犬の場合は、それができません。
そのため、体温調節ができず熱中症になりやすいのです。
犬が熱中症になれば、命に関わることもあります。
また、命を落とすまでにはならなくても、脳機能障害などの後遺症を引き起こすこともあるのです。
どんな犬が熱中症になりやすい?
パグやフレンチブルドッグなどといった短頭種や、肥満の犬は、熱中症になりやすいと言われています。
また子犬やシニア犬も体温調整が苦手なので、熱中症になりやすいと言えます。
これが犬の熱中症サイン!
犬が熱中症になると、どのような症状が見られるのでしょうか。
次のような症状が見られたら、熱中症の疑いがあります。
- 口を開けてハアハアと苦しそうに息をしている
- ぐったりとしている
- 落ち着きがない
- フラフラしている
- よだれが大量に出ている
- 呼びかけに反応しない
このような症状が見られた場合は、要注意です。
速やかに動物病院を受診しましょう。
エアコンつけたままでも熱中症になるって本当!?
エアコンをつけっぱなしなのに、愛犬が熱中症になったケースはよくあります。
理由は、2つ挙げられます。
ひとつは、夏によくあるゲリラ豪雨や台風などの影響で停電になってしまった場合です。
当然エアコンも切れてしまいます。
一瞬で電気が復旧したとしても、一旦電源がオフになってしまったエアコンは、自動でオンにはなりません。
そのため、部屋の温度がどんどん上昇していき、結果、愛犬が熱中症になるパターンです。
ふたつめは、人感センサーのエアコンの場合です。
人感センサーのエアコンはとても便利ですが、実は人感センサーは、人だけに反応し、犬には反応しないのです。
そのため、センサーが誰もいないと判断し、エアコンの電源が切れてしまうのです。
初期設定の際には、センサーがオンになっていますので、愛犬を独りで留守番させる際には、必ず人感センサーをオフにするように確認しておきましょう。
最近の家は機密性が高いので、エアコンがオフになれば、あっという間に室温が上昇します。
防犯の観点から問題ないようであれば、窓を少しだけ開けておくとか、風通しをよくしておくと良いでしょう。
犬の熱中症予防について

それでは、犬の熱中症を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
犬にとって快適な室温は、26℃前後です。
設定温度が低すぎると、お腹が冷えて下痢になるワンちゃんもいます。
冷たい空気は下の方へ溜まるので、サーキュレーターを使用し、空気を循環させてあげると良いでしょう。
また犬にとっては、湿度も重要な要素です。
高すぎる湿度は、体の熱を放出しにくく、熱中症になりやすい環境といえます。
湿度は、40〜60%程度が理想です。
このほかに、飼い主さんのちょっとした心遣いで、愛犬を熱中症から防ぐことができます。それでは、3つの予防法についてご紹介しましょう。
お水を飲みやすい箇所に複数設置
愛犬に留守番をさせていたら、帰ってお水の容器をひっくり返していて、床が水びたしだったという経験ありませんか?
これが夏場だったら大変ですよね。
ワンちゃんは飲水がなくなってしまいます。
そこでお水は、愛犬がお水の容器をひっくり返したとしても大丈夫なように、複数に分けて置いておきましょう。
熱中症対策だけでなく、飼い主さんが急に帰りが遅くなったときなどにも安心です。
お家のなかを愛犬が自由に行き来できるようにする
お留守番の際、サークルやケージに入れているワンちゃんもいるかと思いますが、できればお家のなかを自由に行き来できるほうが、熱中症を防ぐという意味では安全です。
というのも、室温が上がったときに、ワンちゃんが自由に涼しい場所を探すことができるからです。
イタズラがひどいワンちゃんであれば、ケージやサークルを涼しい場所に置いてあげるだけでも随分違います。
直射日光が当たらない場所に置き、窓が開けられるようであれば、開けて風通しをよくしてあげましょう。
熱中症予防対策グッズを用意する
クールマットなど、熱中症予防のグッズを置いてあげるのも効果的です。
またペットボトルを凍らせてタオルを巻いたものを与えても良いでしょう。
まとめ
たかが熱中症と軽く考えていると、大切な愛犬の命を奪ってしまうかもしれません。
ちょっとだけ独りでお留守番を・・・と思っても、もしかしたらすぐに帰ってこれないかもしれません。
ここでご紹介したように、ちょっとした飼い主さんの気配りで、愛犬の熱中症を予防することができます。
愛犬を独りでお留守番させるときには、熱中症対策をしっかりして、ワンちゃんが快適にお留守番できる環境を整えてあげましょう。
この記事の監修者
獣医師 出家 淳
離山動物病院 院長
川西市周辺地域の動物病院として予防・治療にあたるだけではなく、ミネルバ動物病院と連携をとりながら高度医療が必要な患者様への医療提供も実施していきたいと思います。
動物のため、飼い主様のために何がベストなのかを常に考えながら予防や治療にあたって参ります。