人間と同じように犬にも歯石がつきます。
歯石とは、歯垢が石灰化して硬くなったもので、一旦付いてしまうと飼い主さんが除去することはできません。
歯石を取りに動物病院に行くのは面倒くさいと思うかもしれませんが、犬の歯に付いてしまった歯石は基本的には除去しなくてはいけません。
ここでは、どうして犬の歯石は除去が必要なのか?
また歯石取りのメリットやデメリットなどについてもご紹介いたします。
犬の歯石取りが必要な理由とは?
気がつけば、愛犬の歯に歯石がぎっしり付いている!
愛犬家の皆さん、こんな経験ありませんか?
歯石があるということは実は危険な状態であるということをご存知でしょうか?
歯石があるということは、すでに歯周病にかかっている可能性が高いのです。
歯周病を放置しておくと、次のような病気を引き起こす危険性があります。
| 内歯瘻(ないしろう) |
歯肉をはじめとした口腔粘膜に穴があく病気 |
| 外歯瘻(がいしろう) |
歯の周辺組織や歯髄が細菌感染を起こし、炎症が進むと目の下や顎の下などに膿の出口である穴が開いてしまうことがある病気 |
| 口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう) |
口腔と鼻腔が歯周病などで骨が破壊され、穴でつながってしまう状態 |
| 顎骨(がっこつ)骨折 |
上顎や下顎の骨折 |
またこれらの病気だけでなく、心臓病や肝疾患、腎疾患などほかの病気を引き起こす恐れもあるのです。
犬の歯石取りのメリット・デメリットとは?

上記に記したように、犬の歯石の付着は思わぬ病気を引き起こすことがお分かりいただけたことでしょう。
犬の歯石は除去したほうが良いのです。
しかしながら、犬の歯石除去にはデメリットもあります。
ここからは、犬の歯石取りのメリット・デメリットについてご紹介いたします。
犬の歯石取りのメリット
犬の歯石取りのメリットは6つあります。
- 歯周病の重症化、ほかの病気への影響を防ぐ
- 歯がきれいになる
- 口臭が軽減される
- 健康的に見える
- 犬の歯の痛みや違和感を取り除くことができる
- 歯周病の進行により食事がうまくできないことが解消される
犬の歯石取りのデメリット
次にデメリットについても見ていきましょう。
- 犬に歯石取りという嫌がることをしてしまうため、犬が大きなストレスを感じる
- 飼い主さんが自ら除去しようとした場合、犬の歯や口腔内を傷つけてしまうことがある
- 麻酔を使用しない歯石除去の場合、犬に痛い思いをさせるので、それ以降口を触らせてもらえなくなる
- 麻酔を使用しての歯石除去の場合、麻酔によるリスクをともなう
犬の歯石取りの目安とは?
犬の歯石取りの目安については、何ヶ月に1回などといった明確な決まりはありません。
歯垢や歯石を見つけたときが歯石取りのタイミングです。
歯垢や歯石は、犬それぞれの唾液の分泌量によっても異なります。
犬の唾液には殺菌効果があるので、一般的に唾液の分泌量が多い犬は、歯垢や歯石ができにくいとされています。
愛犬がどのぐらいの周期で歯垢や歯石が付いているのか、飼い主さんは把握しておくと良いでしょう。
犬の歯石取りは飼い主さんがしても大丈夫?
前述しましたが、飼い主さん自らが歯石を取ることは、歯や歯茎を傷つけてしまう可能性もあるとともに歯肉に隠れた歯石までは取ることができないため、あまりおすすめはできません。
しかしながら、巷では、犬の歯垢や歯石の予防や除去効果があるとされているジェルやスプレー、液体、粉末などが販売されています。
歯磨きを嫌がる犬や麻酔がかけられない犬にとっては、これらを使うこともひとつの手ではありますが、はっきりいってその効果はあまり高くはありません。
なかには、皮膚炎を発症したり、お腹がゆるくなる子もいるので、特に持病がある犬などに使用する際には、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。
動物病院での犬の歯石取りとはどんなことをするの?
動物病院で犬の歯石取りを行う場合、まずは次のような検査を行ないます。
- エキスプローラー(探針)による検査
- プロービング
- 歯垢染色液による検査
- 歯垢・歯石検査用ライトによる検査
- レントゲン検査
- CT検査(鼻腔内にも炎症があるとき)
これらの検査を行なったあと、次のような段階を踏んで歯石取りが行われます。
- ① 口のなかの洗浄
- ② 抜歯鉗子(ばっしかんし)で大まかに歯石を取り除きます。
- ③ 超音波スケラーで残った歯垢や歯石を除去します。
- ④ 歯の隙間や細かい部分の歯垢・歯石はハンドスケラーを使って除去します。
- ⑤ キュレットという歯科用器具で歯肉ポケットのなかの歯垢・歯石を除去し、歯肉で隠れた歯の表面を滑らかにします。
- ⑥ 研磨用のペーストをつけたポリッシングブラシで歯の表面を研磨して滑らかにします。
- ⑦ 仕上げ用のペーストをつけたラバーカップでさらに研磨します。
- ⑧ 口のなかを洗浄します。
歯石除去のあとは、歯がしみたり出血したりすることもあるので、1〜2日は硬いものを食べさせないようにしましょう。
また抜歯も行ない歯肉を縫合した場合は、歯肉が癒合するまでの2週間程度は、硬いものを控え柔らかい食事を与えるようにしましょう。
歯石除去したあとでも手入れをしなければ、また歯石がつきます。
愛犬に痛い思いや嫌な思いをさせないためにも歯磨きをしっかりするようにしてくださいね。
犬の歯石がつかないようにするための予防法とは?
犬の歯垢を落とす作用のあるデンタルガムやおやつを与えることもおすすめです。
しかしながら、骨やひづめなど固すぎるものは、歯が折れることがありますので気をつけてください。
また乳酸菌には、歯周病菌の抑制効果があるとされています。
乳酸菌を含む食品やサプリメントを与えることもおすすめです。
まとめ
歯石除去は、人間でも嫌な処置です。
愛犬にとっても負担が大きいものになります。
歯石除去をなるべくしなくても良いようにするためには、歯磨き習慣をつけることがおすすめです。
また歯石がついてしまった場合には、なるべく早めに歯石除去を行なうようにしましょう。
歯石除去をしたあとも、再付着の予防に努めることが大切です。
この記事の監修者
獣医師 出家 淳
離山動物病院 院長
川西市周辺地域の動物病院として予防・治療にあたるだけではなく、ミネルバ動物病院と連携をとりながら高度医療が必要な患者様への医療提供も実施していきたいと思います。
動物のため、飼い主様のために何がベストなのかを常に考えながら予防や治療にあたって参ります。